【症状】
流山市に在住の30代女性が肩甲骨の内側の痛みを訴え、来院されました。この問題は発症してから1年近く経過し、息を深く吸い込もうとすると背中の中心に鈍痛が生じます。最近は悪化が著しく日常の呼吸でも苦しさを感じ、疲れが抜けません。発症時は内臓の問題かと思い、病院でレントゲンやMRIなどの検査もしましたが、特に異常は見当たりませんでした。
最初の頃、痛みは背中を刺すような鋭いものでしたが今は鈍い感じです。この痛みの影響で肩こりや腰痛は日に日に悪化しています。睡眠の質も悪く朝、ベッドから出るのが億劫です。病院で異常が無かった事から自分で改善させようとヨガやジムへ行った事もありますが、仕事も忙しく週末は疲れで動きたくないため続かないとの事です。
【検査】
肩甲骨の真ん中周囲、第5胸椎を中心とし肩甲骨間の脊柱のスプリング(弾力性)は減少していた。そのため息を吸い込む時の周囲肋骨の広がりは悪く、肩も前に入り前胸部に存在する小胸筋は短縮。小胸筋の緊張は腕や肩周りの血液循環を阻害し、より首から肩の問題を悪化させる傾向にある。
弾力性の低下した背中の関節には歪みが存在し、首の付け根、腰の上部にまで関節の可動制限は広がっている。歪みの部位の筋肉の癒着は強く、慢性的に抱えた機能障害である事を確認。
歪みに存在する筋肉の癒着は結果として、背骨の両脇を走行する脊柱起立筋を持続的に緊張させている。日に日に肩こり腰痛が悪化する原因は、この影響からと思われる。
可動域検査では体を後ろに外らせる動作と、左右に捻る動作で制限。体を外らせる時は腰に、左右に捻る時は背中から脇にかけて痛みが生じる。体を捻る動作では、起立筋と肋間筋が突っ張った状態を確認。
姿勢検査では猫背の強さと肩が前に入り込む状態が目立つ。痩せ型の女性のため体幹を支える筋力も弱く、より不良姿勢を助長させているのかもしれない。
【治療】
WA理学療法機、マイクロウェルダー、干渉低周波を用い背部の筋肉に柔軟性を十分に与え、肩甲骨の間に存在する胸椎の歪みに対しカイロプラクティックによる矯正を行う。頚椎には徒手による緩和操作を行ってからアジャストメントを施す。その後グラストンテクニックを用い、残された筋肉の癒着を剥がすアプローチ。年齢的にもカイロプラクティックによる矯正は安全なため、2回目以降も週に2回矯正を中心とした施術を繰り返す。2〜3週間経過した頃から週に1回の施術へ切り換える。
【経過】
初回の治療で深呼吸可能になり、睡眠状態も良くなったとのこと。可動域検査で見られた体を反らした時の腰痛は改善されたが、体幹を捻った時の突っ張りは少し良い程度。その後も肩甲骨の痛みは残っていたが3週経過した頃には、痛みではなく違和感程度に変化。その頃から体幹を捻っても突っ張りは生じなくなる。2ヶ月後には目立った自覚症状も消失。
【解説】
今回の症例は背中の歪みが結果として、肋骨の動きを低下させていたと考えられます。肋骨の動きの低下は呼吸を存分に行えなくさせるため、疲労が蓄積しやすくなります。このような場合は背中に対するカイロプラクティックによる矯正が、症状回復の上で最も重要な施術です。
また、この類の痛みは場所から内臓の問題による障害と間違われ、背中の筋肉や関節の歪みの問題は見落とされやすいと言えます。もし内臓からの関連痛の場合は動悸、息切れや血圧の変化など、明らかな体調不良を伴うのを特徴とし今回の様に1年も続く痛みの場合、歪みや癒着からの障害である可能性は極めて高くなります。病院の検査で異常が出ないため放置される事も多いですが、カイロプラクティックでは一般的に見受けられるケースであり即効性を期待できる障害になります。