
松戸市在住の40代男性が、左肩甲骨の痛みを主訴にカイロプラクティックセンター松戸へ来院されました。症状は数か月前から徐々に始まり、初期は首の後ろに鈍い痛みを感じていましたが、時間の経過とともに痛みの部位が移動し、現在は左肩甲骨の内側深くに刺すような痛みを覚えるようになっています。
患者様は事務職で、1日8時間以上ほぼ座りっぱなしでパソコン作業を行っています。慢性的な肩こりは以前から自覚していたものの、今回のような強い痛みは初めてで、不安感もありました。近隣の整体院を受診した際には「骨格の歪みがある」と指摘されましたが、数回の施術や自己流のマッサージ・ストレッチでは改善が見られませんでした。さらに仕事の繁忙期には寝不足も重なり、左右の肩から腕にかけてのだるさや鈍い痛みも出るようになっています。
【診察・評価】
触診では、左肩甲骨内側に位置する菱形筋と起立筋に強い癒着が認められ、押圧時に鋭い痛みが再現。これらの癒着は、長時間の同一姿勢や背骨の動きの偏りによって発生しやすい状態です。胸椎(肩甲骨の間の背骨)を反らす動作では可動域が明らかに制限されており、背骨全体の動きの連動性が低下していました。
一方で、首の関節は過可動状態にあり、胸椎の動きの不足を補おうとする代償動作が生じる。この状態が続くことで上部頚椎(後頭部から首にかけての骨)の微細な動きが制限され、首や肩周囲の筋肉に過度な緊張が加わっています。左右肩から腕に広がるだるさや鈍痛も、この代償動作による神経・筋膜へのストレスが原因の一つと考えられます。
【治療経過】
施術は胸椎と上部頚椎に対してカイロプラクティックの矯正を行い、関節の適切な可動性と背骨全体のバランスを回復させることから始める。さらに中部頚椎(第4〜5頚椎)が安定し、過剰可動部分への負担が減るよう調整を加えた。
筋肉の癒着にはグラストンテクニックを用い、専用器具で菱形筋や起立筋を中心に筋膜リリースを実施。これにより筋膜と筋肉の滑走性が改善され、肩甲骨の動きがスムーズに回復。また、左右肩〜腕へのだるさに対しては、前腕の筋膜リリースも併用し、末梢までの血流改善を促進。
初回の施術後から肩甲骨周囲の動きは改善し、痛みは半分以下に軽減。週1回の施術を4回継続した1か月後には、肩甲骨の痛みも左右肩〜腕のだるさも完全に消失し、仕事中の姿勢も安定。
【解説】
今回の症状の要点は、単なる肩こりではなく胸椎の可動性低下と筋膜癒着が複合的に関与していた事にあります。左肩甲骨内側の痛みは、深層の菱形筋・起立筋の癒着によって引き起こされ、この癒着は背骨の歪みや動きの偏りから生じていました。
一般的なマッサージや自己流ストレッチでは、表層の筋肉を一時的にほぐせても、深部の癒着や背骨の機能障害までは改善できません。特にデスクワークや寝不足といった生活習慣が重なると、回復力は低下し、肩や腕への放散痛やだるさといった二次的症状も生じやすくなります。
カイロプラクティックの矯正とグラストンテクニックの併用は、こうした複合的な問題に対し有効です。関節の可動性を回復させ、癒着を直接解除することで、背骨を中心とした運動連鎖全体が正常化し、短期間での症状改善が可能となります。
肩甲骨周囲の慢性痛は、痛みの出ている箇所だけを処置しても根本改善は難しく、原因となる関節・、筋膜の状態、緊張度を包括的に評価することが重要です。本症例では、生活習慣や体の使い方の癖が積み重なって発症した慢性症状が、適切なカイロプラクティック評価と必要とされる筋膜リリースにより早期改善に至ったと言えます。
担当カイロプラクター:鷲見光一
応用理学士(医科学)
カイロプラクティック理学士
グラストンテクニック®GTクリニシャン
日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員
都内カイロプラクティック院にて副院長を務めた後、2017年に独立。国際基準のカイロプラクティックだけでなくグラストンテクニックのライセンスを取得し、物理療法を駆使した施術法を確立。臨床歴20年以上のオーストラリア政府公認カイロプラクター。
監修者:鷲見弘
取得国家資格/鍼灸師、柔道整復師(接骨)、あん摩マッサージ指圧師
慶応大学卒業後、人体や自然界への探求心によりカイロプラクティックの道へ進む。ユニバーサル・カイロプラクティック・カレッジ、 中央医療学園鍼灸学科を首席として卒業後、JSK鍼灸カイロプラクティックを運営。音楽家の腱鞘炎等の演奏障害を得意分野とし、多くの著名ピアニストの治療を担当。






