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施術例

肩甲骨の張りと吐き気

2026.03.26 カテゴリー:背中の痛み 

松戸在住の30代女性が、肩甲骨内側の張りと吐き気を主訴に来院されました。肩甲骨周囲の違和感は約1年前から自覚していたものの、日常生活に大きな支障はなかったため様子を見ていたとのことです。しかし最近になり、肩甲骨内側の強い張りに加えて吐き気を伴うようになり、症状が悪化。十分に睡眠をとっても疲労感が抜けず、朝から身体が重だるい状態が続いていました。
普段はデスクワーク中心の生活であり、長時間同じ姿勢を続けることが多く、特にパソコン作業時には前かがみの姿勢になりやすい環境でした。症状の悪化に伴い、集中力の低下や体調不良から仕事を休む日も増え、日常生活への影響が大きくなっていました。吐き気については食事とは関係なく出現し、肩や背中の張りが強い時ほど感じやすい傾向がありました。

検査

肩甲骨内側を中心に筋緊張が強く、頚椎から胸椎にかけて連動性の低下を確認。姿勢不良による広範囲な影響が認められた。

視診・触診検査

左右の肩甲骨内側(菱形筋)に強い筋膜癒着と圧痛を確認。筋肉の柔軟性低下が顕著。

頚椎可動域検査

伸展を除き可動域制限あり。特に回旋・側屈で動きの硬さが目立つ。ストレートネック傾向を確認。

胸椎可動性検査

肩甲骨間部から胸腰移行部にかけて弾力性低下。後弯が強く、猫背姿勢が顕著。

姿勢検査

頭部前方位・巻き肩・猫背姿勢を確認。長時間デスクワークによる姿勢固定の影響が大きい。

自律神経関連所見

吐き気は筋緊張の強いタイミングで出現し、筋・姿勢由来の影響が示唆される。

治療

グラストンテクニック

菱形筋を中心に肩甲骨内側の筋膜癒着へアプローチし、滑走性の改善と血流促進を図る。

モビリゼーション(関節調整)

頚椎に対しストレートネック改善を目的とした可動域調整を実施。

アジャストメント(脊椎矯正)

胸椎へ矯正を行い、後弯の柔軟性回復と姿勢バランスの改善を図る。

肩甲骨モビリティ改善

肩甲骨の内転・下制方向への動きを誘導し、背部筋群の正常な機能回復を促す。

生活指導

長時間同一姿勢の回避、定期的な体位変換、胸郭を開く姿勢の意識づけを指導。

経過

初回施術後:肩甲骨内側の張りがやや軽減。吐き気の頻度もわずかに減少。
2〜3週目:張りの範囲が縮小し、日中の不快感が軽減。吐き気は残存するも強さは軽減。
2ヶ月後:肩甲骨内側の張り、吐き気ともに寛解。睡眠後の疲労感も改善。
4か月後:体調は安定し、デスクワークも問題なく継続可能。

解説

本症例は、肩甲骨内側に位置する菱形筋の筋膜癒着と慢性的な姿勢不良により、広範囲の筋緊張が生じた結果、自律神経系へ影響を及ぼし吐き気を引き起こしたケースと考えられます。

菱形筋は肩甲骨を内側へ引き寄せる重要な筋肉であり、長時間の前傾姿勢では常に引き伸ばされながら緊張を強いられる状態となります。この状態が続くと筋膜の滑走性が低下し、局所的な癒着が生じ、強い張り感や痛みを引き起こします。さらにその緊張は頚部へと波及し、頚椎の可動性低下やストレートネックを助長します。

頚部周囲には自律神経が多く分布しており、持続的な筋緊張は交感神経の過剰な興奮を招きます。その結果、吐き気や倦怠感、睡眠の質低下といった全身症状として現れることがあります。本症例における吐き気も、消化器系の問題ではなく筋緊張由来の自律神経反応と考えられました。

女性は筋力的に姿勢を支える負担が大きくなりやすく、筋膜の癒着が慢性化すると影響が広範囲に及びやすい傾向があります。このような状態では、単なるストレッチやマッサージでは表層の緊張しか改善できず、根本的な回復には至りにくい場合があります。

そのため本症例では、筋膜リリースによる癒着改善に加え、胸椎および頚椎の可動性を回復させることで、姿勢全体のバランスを整えるアプローチを行いました。結果として筋緊張の連鎖が解消され、自律神経の安定にもつながり、吐き気の改善が得られたと考えられます。

このように、肩甲骨周囲の症状であっても全身のバランスや神経系の影響を考慮することが重要であり、早期の適切な介入が慢性化や重症化の予防につながります。

 

担当カイロプラクター:鷲見光一

カイロプラクター 鷲見 光一応用理学士(医科学)
カイロプラクティック理学士
グラストンテクニック®GTクリニシャン
日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員

都内カイロプラクティック院にて副院長を務めた後、2017年に独立。国際基準のカイロプラクティックだけでなくグラストンテクニックのライセンスを取得し、物理療法を駆使した施術法を確立。臨床歴20年以上のオーストラリア政府公認カイロプラクター。

 

監修者:鷲見弘

取得国家資格/鍼灸師、柔道整復師(接骨)、あん摩マッサージ指圧師
慶応大学卒業後、人体や自然界への探求心によりカイロプラクティックの道へ進む。ユニバーサル・カイロプラクティック・カレッジ、 中央医療学園鍼灸学科を首席として卒業後、JSK鍼灸カイロプラクティックを運営。音楽家の腱鞘炎等の演奏障害を得意分野とし、多くの著名ピアニストの治療を担当。

WHO 国際基準のカイロプラクティック
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