
松戸市にお住まいの30代男性が、右肩甲骨の裏側に続くしつこい痛みを訴えて、当カイロプラクティックセンター松戸に来院されました。
この症状は今から約半年前に初めて感じたもので、当初は単なる肩こりのような「違和感」程度であったといいます。しかし、日を追うごとに症状は徐々に強くなり、最近では鈍く重い痛みが常に肩甲骨の裏側にあるような感覚に変わってきたとのことでした。
痛みの性質としては、「ズキズキするような鋭い痛み」ではなく、「重だるく、奥の方にずっと残っているような鈍痛」とのことで、日常生活においても集中力の低下や睡眠の質の低下を感じるようになったそうです。特に最近では、深く呼吸をしようとすると胸の奥に圧迫感を感じ、呼吸がしづらいという症状も出てきたため、不安を感じて受診されました。
これまでにも何度かマッサージや整体に通い、肩甲骨周辺の筋肉をほぐす施術を受けていたとのことですが、一時的な軽快はあっても根本的な改善には至らず、むしろ症状はしつこさを増している印象だったといいます。
【検査】
初回の検査・評価において、最も顕著だったのは、右肩甲骨の内側に位置する筋群(主に菱形筋や肩甲挙筋など)の過緊張です。これらの筋肉は慢性的に緊張しており、触診では明確な筋硬結(コリ)も確認されました。
また、肩甲骨の動きに制限があり、特に肩甲骨が背骨から外側に動く「外方への可動性」が著しく低下していました。これは、肩甲骨と肋骨の間の滑走性が失われ、結果的に呼吸時の胸郭の動きにも悪影響を及ぼしていたと考えられます。
さらに、背骨の構造にも問題が見られました。胸椎(胸の背骨部分)の生理的な後弯(後ろへの自然なカーブ)が減少しており、本来の柔軟な弾力性が失われている状態でした。これは長時間の座り姿勢や前かがみの姿勢による影響と推察されます。
【治療】
治療では、胸椎の可動性を回復させるための矯正(アジャストメント)を行いました。これは「ボキボキ」と音が鳴るタイプの矯正であり、関節の動きを正常な軌道に戻すことで、神経機能や筋肉のバランスを整える効果が期待されます。
加えて、矯正の負担を減らすために、音を伴わないモビリゼーション(穏やかな関節運動)を併用しました。肩甲骨に対しては、外方への可動性を取り戻すような手技を重点的に施し、筋膜や筋肉間の癒着を解放していきます。
施術は週に1回のペースで継続し、約3ヶ月の経過を経て、痛みは約90%以上の改善が見られました。患者様ご本人からは、「呼吸も深く楽にできるようになった」「寝つきが良くなり、睡眠の質も向上した」とのお声を頂いております。
【解説】
今回のケースでは、主な痛みの原因は肩甲骨そのものではなく、その土台である胸椎(背骨)の歪みと可動性の低下にあったと考えられます。
特に胸椎の柔軟性が失われると、その周囲に位置する肩甲骨や肋骨の動きが制限され、肩甲骨の内側にある筋肉が過緊張状態に陥りやすくなります。この状態が長く続くと、筋肉の血流や神経伝達が悪化し、慢性的な「奥の痛み」や「呼吸のしづらさ」といった症状が現れることがあります。
多くの方がこういった症状に対し、まずはマッサージやストレッチなどで筋肉をほぐす対応をされます。もちろんそれも一時的な効果はありますが、今回のように背骨の歪みが根本にあるケースでは、筋肉だけを緩めても根本的な改善は難しいことが多いです。
カイロプラクティックでは、関節の構造的な問題を的確に見つけ出し、それに対して矯正を加えることで、神経系や筋肉の働きを正常化させることを目的としています。このアプローチが、慢性的で再発しやすい症状に対して大きな効果をもたらす理由です。
【まとめ】
一見すると「肩こり」や「筋肉のコリ」のように感じる症状であっても、その根本には背骨や姿勢の問題が潜んでいることが多くあります。今回のように長期間続く肩甲骨周辺の不快感や、呼吸に関わるような圧迫感がある場合には、カイロプラクティックでの評価と調整が有効な選択肢になる可能性があります。
「マッサージに通っても治らない」「原因がよくわからないまま、ずっと不調が続いている」――そのような方は、是非一度、カイロプラクティックの専門的な検査と施術を受けてみてください。
担当カイロプラクター:鷲見光一
応用理学士(医科学)
カイロプラクティック理学士
グラストンテクニック®GTクリニシャン
日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員
都内カイロプラクティック院にて副院長を務めた後、2017年に独立。国際基準のカイロプラクティックだけでなくグラストンテクニックのライセンスを取得し、物理療法を駆使した施術法を確立。臨床歴20年以上のオーストラリア政府公認カイロプラクター。
監修者:鷲見弘
取得国家資格/鍼灸師、柔道整復師(接骨)、あん摩マッサージ指圧師
慶応大学卒業後、人体や自然界への探求心によりカイロプラクティックの道へ進む。ユニバーサル・カイロプラクティック・カレッジ、 中央医療学園鍼灸学科を首席として卒業後、JSK鍼灸カイロプラクティックを運営。音楽家の腱鞘炎等の演奏障害を得意分野とし、多くの著名ピアニストの治療を担当。






