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施術例

膝、体幹の歪みによる鵞足炎

2025.10.16 カテゴリー:膝の痛み 

松戸在住の30代男性が、階段の昇り降りで感じる左膝内側の痛みを訴えて来院されました。デスクワーク中心の生活で運動量が減っており、近頃では軽い段差でも膝に違和感を覚えるようになったとのことです。痛みは半年ほど前から続いており、日によって波はあるものの、特に階段の昇降や椅子から立ち上がる動作の際に強く出ます。また、膝の痛みと同時に腰の張りも感じるようになり、身体全体が固まったような重だるさを自覚していました。
初めのうちは「疲れだろう」と軽く考え、ストレッチやサポーターで様子を見ていたものの、症状が改善せず、むしろ左膝の内側にピリッとした痛みが走ることも増えてきたため、不安を感じて来院されました。患者さんは30代とまだ若く、将来の関節トラブルを心配しており、「このまま膝が悪くなっていくのでは」と不安を口にしていました。普段の生活では長時間のパソコン作業が多く、座位姿勢が長く続くため、骨盤後傾や下肢の筋緊張も強い状態でした。

 

検査

初回検査時、膝の局所的な炎症とともに、腰椎から骨盤にかけてのバランスの崩れも確認されました。膝のみならず、全身的な連動性の低下が見られ、特に体幹の安定性不足が膝への過剰な負担を生んでいると考えられました。

①視診・触診検査

左膝内側、鵞足(縫工筋・薄筋・半腱様筋の腱が集まる部位)に軽度の腫れと熱感を確認。圧痛点が明確で、触れると鈍い痛みを訴える。筋膜には癒着があり、膝関節の伸展時に軽い抵抗が見られた。

②関節可動域検査

膝を完全に曲げると内側に突っ張り感が生じ、深い屈曲動作で痛みが誘発される。また、股関節・足関節の可動域もやや低下し、下肢全体の柔軟性不足がみられた。

③モーションパルペーション(可動触診検査)

腰椎および仙腸関節のスプリングテストでは、胸腰移行部で可動性の減少を確認。腰椎の後弯傾向が強く、骨盤の後傾と相まって膝関節の衝撃吸収機能を低下させている状態と判断。膝関節の関節にも歪が生じていた。

④姿勢・歩行検査

立位姿勢では左膝がやや内側へ入り込む「ニーイン」の傾向があり、片足立ち時に骨盤が傾く現象も確認。歩行時には左足の着地が早く、体重移動のバランスが右足に偏る。

⑤神経学的検査

膝下への放散痛やしびれは見られず、明らかな神経障害は確認されない。感覚・反射も正常範囲内。疼痛の原因は構造的・筋膜的要因と判断される。

治療

①グラストンテクニック

鵞足部に付着する筋腱膜(縫工筋・薄筋・半腱様筋)に対し、特殊なステンレスツールを用いたグラストンテクニックを実施。癒着の解放と筋膜の滑走性改善を目的に行う。

②モビリゼーション(関節調整)

膝関節の歪を回復させるため、軽度のモビリゼーションを実施。痛みを伴わない範囲で行い、動作中の引っ掛かり感が軽減。

③アジャストメント(脊椎矯正)

胸腰部のスプリング低下に対してアジャストメント(関節音を伴う矯正)を行い、腰椎・骨盤のアライメントを調整。体幹バランスの回復により、下肢への負担を分散させる。

④物理療法(補助療法)

施術前には患部への干渉低周波を使用し、血流促進と炎症の軽減を図る。

経過

1週目
膝の違和感は残るものの、階段の上り下りでの痛みが軽減。歩行時の膝の突っ張りも減少し、立ち上がり動作がスムーズになる。

3週目
膝の腫れはほぼ消失。鵞足部の圧痛も弱まり、可動域が広がる。デスクワーク後の腰の張りも軽くなり、全身の連動性が改善。

2ヶ月経過
階段昇降時の痛みは消失し、日常生活での不自由は感じなくなる。膝関節の可動も安定し、膝を深く曲げても痛みは生じない。現在は月2回のメンテナンス施術を行い、再発予防と姿勢維持を目的に施術を継続中。

解説

今回の症例は、膝内側に炎症を起こす鵞足炎(がそくえん)によるものでした。鵞足部は3つの筋肉(縫工筋・薄筋・半腱様筋)の腱が膝の内側で合流する部位で、歩行や階段動作などで繰り返し摩擦が起こりやすい部分です。特に、腰椎や骨盤のバランスが崩れていると膝の動作軌道が乱れ、内側に過剰な負担がかかります。今回の患者さんも、長時間のデスクワークによる姿勢の崩れと、運動不足から体幹の支持力が低下しており、膝周囲の筋肉が代償的に働いて炎症を起こしていたと言えます。

鵞足炎の安定には体幹の安定

このようなケースでは、膝だけを局所的に治療するのではなく、腰椎・骨盤・股関節を含めた全身的な脊柱へのカイロプラクティックアプローチが必要です。体幹を整えることで膝関節の動きが安定し、再発を防ぐことが可能となります。

 

担当カイロプラクター:鷲見光一

カイロプラクター 鷲見 光一応用理学士(医科学)
カイロプラクティック理学士
グラストンテクニック®GTクリニシャン
日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員

都内カイロプラクティック院にて副院長を務めた後、2017年に独立。国際基準のカイロプラクティックだけでなくグラストンテクニックのライセンスを取得し、物理療法を駆使した施術法を確立。臨床歴20年以上のオーストラリア政府公認カイロプラクター。

 

監修者:鷲見弘

取得国家資格/鍼灸師、柔道整復師(接骨)、あん摩マッサージ指圧師
慶応大学卒業後、人体や自然界への探求心によりカイロプラクティックの道へ進む。ユニバーサル・カイロプラクティック・カレッジ、 中央医療学園鍼灸学科を首席として卒業後、JSK鍼灸カイロプラクティックを運営。音楽家の腱鞘炎等の演奏障害を得意分野とし、多くの著名ピアニストの治療を担当。

プロフィール詳細

WHO 国際基準のカイロプラクティック
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