
松戸在住の40代男性が、右上腕の鈍痛を訴えて来院されました。この症状は半年ほど前から続いており、強烈な痛みというよりも「常に重だるい感覚が残っている」ことが特徴です。症状が出始めた当初は日常生活に影響はなかったのですが、時間が経つにつれて次第に悪化し、今ではデスクワーク中に強い不快感を感じるようになっています。特にパソコンに集中しているときに首や肩がこわばり、その延長で腕のだるさが増してくるため、仕事の効率にも影響が出るようになってきました。
患者様は無意識のうちに首や肩を回したり、腕を揉んだりする習慣があり、「少し動かすと一時的には楽になるが、すぐにまただるさが戻る」と訴えています。半年ほど前に整形外科を受診し、レントゲン検査にて「ストレートネック」と診断を受けました。MRIで確認はしておらず、病院では電気治療や頚椎牽引などのリハビリを受けましたが、大きな改善は見られませんでした。鎮痛剤や湿布も処方されましたが、その効果は一時的であり、根本的な改善には至っていません。
検査
初回来院時の所見は以下の通りです。
①神経学的異常は認められない
痺れや感覚異常、筋力低下など神経障害の兆候はなく、椎間板ヘルニアや神経根症といった病態の可能性は低いと判断された。
②頚部起立筋の過緊張
右側の頚部起立筋に顕著な緊張を確認。頭部を支える負担が過剰にかかっており、ストレートネックによる姿勢不良が背景にあると考えられる。
③肩甲骨内側筋群の硬直
肩甲骨内側(菱形筋や僧帽筋内側部)に強い張りを確認。肩甲骨の動きが制限されており、その影響が上腕への関連痛として現れている。
④上腕筋群(三角筋・上腕三頭筋)の緊張
右上腕の筋群に硬直が見られ、特に腕を後方に動かしたときに緊張が高まる。局所的な炎症はなく、二次的な筋緊張と判断。
⑤動作による痛みの誘発
上を向く動作(頚椎伸展)を行うと、右頚部から上腕にかけて鈍痛が再現された。関節の可動域制限と筋緊張の相互作用により、関連痛が引き起こされていると推測。
これらの結果から、今回の腕の鈍痛は「ヘルニア等の神経障害による痛み」ではなく「関節機能障害と筋緊張による関連痛」であると判断。
治療
治療では、症状の原因となっている頚椎や肩甲骨の機能障害を改善し、筋緊張を緩和することを目的としました。実際に行ったアプローチは以下の通りです。
①頚椎・胸椎へのアジャストメント
ストレートネックにより制限されていた頚椎の動きを回復させ、神経機能を整える。さらに胸椎の可動域を改善することで、姿勢全体のバランスを調整。
②肩甲骨のモビリゼーション
肩甲骨周囲の固まった関節に手技を加え、肩甲骨の動きを解放。これにより、周囲の筋緊張が緩和し、上腕への関連痛も軽減。
③グラストンテクニックによる筋膜リリース
特殊なステンレス器具を用いて頚部から上腕にかけて筋膜をリリース。手のみの緩和操作より、より深部の癒着や緊張の回復に期待を持てる。
経過
初回施術の翌日から大きな変化が見られ、2回目のご来院時には「痛みが7割程度軽減した」と実感されました。特に腕の重だるさが軽くなり、肩周囲の可動域も広がったと報告されています。その後も数回の施術を継続した結果、症状は安定し、日常生活や仕事においても不快感が大きく減少しました。
解説
今回の症例は、腕の鈍痛の原因が「神経圧迫」ではなく「関節機能障害と筋緊張による関連痛」であった事を判断できた結果、早期回復につながっと言えます。痛みの訴える部位の筋群に緊張はあるものの、神経圧迫による筋力低下や感覚の異常、ヘルニア好発部位の異常な可動性などは見つからず、積極的なカイロプラクティック施術を加えられる状態でした。
頚椎ヘルニアへの矯正は禁忌
病院の検査ではストレートネックのみの診断をレントゲンで受けておりますが、時にはMRIでのみヘルニアが確認される事もあり、その場合は頚椎に対する矯正は禁忌症となるため注意を要します。その中でもヘルニアか否か、どうしても判断がつきにくい患者様もおり、そのような場合、当院ではヘルニアがあると想定して対応しおります。回数を重ねる中で把握されるものもあり、その方がより安全な対策を組める場合がほとんどです。
担当カイロプラクター:鷲見光一
応用理学士(医科学)
カイロプラクティック理学士
グラストンテクニック®GTクリニシャン
日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員
都内カイロプラクティック院にて副院長を務めた後、2017年に独立。国際基準のカイロプラクティックだけでなくグラストンテクニックのライセンスを取得し、物理療法を駆使した施術法を確立。臨床歴20年以上のオーストラリア政府公認カイロプラクター。
監修者:鷲見弘
取得国家資格/鍼灸師、柔道整復師(接骨)、あん摩マッサージ指圧師
慶応大学卒業後、人体や自然界への探求心によりカイロプラクティックの道へ進む。ユニバーサル・カイロプラクティック・カレッジ、 中央医療学園鍼灸学科を首席として卒業後、JSK鍼灸カイロプラクティックを運営。音楽家の腱鞘炎等の演奏障害を得意分野とし、多くの著名ピアニストの治療を担当。






