
柏市在住の30代女性が首の痛みを訴えて来院されました。この痛みは約3か月前、突然首に鋭い痛みが走ったことから始まっています。あまりの痛みに不安を覚え病院を受診し、画像検査を受けたところ、第5頚椎の椎間板ヘルニアが確認されました。さらに、首のカーブが失われてまっすぐになっている「ストレートネック」も指摘されています。
患者様は以前から肩こりを強く自覚していましたが、ここまで首が動かせなくなるほどの痛みは初めてで、仕事や家事、日常生活に支障が出ていました。特にデスクワークで長時間パソコンに向かうと首が固まり、夜になると頭痛まで伴うようになり、睡眠の質も低下していました。病院では「手術の必要はないので、しばらく様子を見ましょう」と説明されましたが、3か月が経っても痛みは改善せず、不安を抱え当院に来院されました。
検査
初診時に姿勢、可動域、神経学的評価を行った結果は以下の通りでした。
①姿勢検査
痛みを避けるためか顔が前方に突き出し、頚椎から胸椎にかけて後方変位が強くみられた。いわゆる「ストレートネック」の特徴的な姿勢を確認。
②可動域検査
頚椎の伸展(上を向く動作)が極端に制限され、左右の回旋動作も大きく制限されていた。日常生活での動作にも強い影響が出るほど制限を受けている。
③筋力検査
右手の握力に軽度の低下。日常生活に大きな支障をきたすほどではない。
④神経学的検査
感覚異常や反射の異常は認められず、それ以外の神経学的所見はおおむね正常範囲内。
この結果から、強い痛みの背景には椎間板ヘルニアの影響がある一方で、ストレートネックによる頚椎のバランス不良が、症状をさらに悪化させていることが推測された。
治療
治療は段階的に行い、症状の程度や可動域の変化に合わせて内容を調整しました。
①軽度の頚椎牽引
椎間板にかかる圧力を軽減し、神経への圧迫を和らげる目的で実施。
②肩甲骨間部の調整
僧帽筋や菱形筋の緊張を解放し、頚部を支える筋肉の負担を軽減。
③上部頚椎の機能回復
ストレートネックによる頭部の前方変位で生じる圧迫を改善。
④中部頚椎へのモビリゼーション(3回目以降)
初期の痛みが落ち着き可動域が広がった段階で導入。ヘルニアの存在する関節のため、押圧は慎重に行う。
経過
治療開始後、少しずつ首の動きが改善していきました。
1〜5回目
施術後は一時的に痛みが軽減するものの、朝起きたときや長時間のパソコン作業では痛みが戻る状態。
5〜8回目
頚椎の可動域が広がりはじめ、日常生活でも振り向きやすくなる。
2か月以降
首の痛みは徐々に落ち着き、右手の握力低下も気にならなくなる。
約5か月後
症状はほぼ消失し、寛解状態に至る。その後も安定した経過をたどっている。
解説
今回の症例は、ストレートネックによる負担にヘルニアが重なり、筋肉や関節へ過剰な力が加わった状態でした。ストレートネックは本来あるべき頚椎のカーブを失わせ、脊柱の前面に位置する椎間板にかかる圧力を増大させます。そのためヘルニアが発症しやすくなり、ヘルニア由来の痛みを回復させにくくします。
若年層のヘルニアは注意が必要
もし放置していた場合、神経症状が進行し、腕や手のしびれ、感覚鈍麻、筋力低下といった後遺症につながる可能性は非常に高くなります。また30代という比較的若い年代で発症するヘルニアは、椎間板がまだ柔らかく水分を多く含むため突出が強く、病状が悪化しやすいのを特徴とします。そのため「若いから自然に治る」と軽視するのは危険です。
罹患してしまえば仕方無いですが、ヘルニアが無いことに越したことはありません。ヘルニアになる前段階として肩こりや首の痛みを抱えて過ごされる方は多く、その時に適切なカイロプラクティックの施術を加える事は、あるべき本来の予防法となります。
担当カイロプラクター:鷲見光一
応用理学士(医科学)
カイロプラクティック理学士
グラストンテクニック®GTクリニシャン
日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員
都内カイロプラクティック院にて副院長を務めた後、2017年に独立。国際基準のカイロプラクティックだけでなくグラストンテクニックのライセンスを取得し、物理療法を駆使した施術法を確立。臨床歴20年以上のオーストラリア政府公認カイロプラクター。
監修者:鷲見弘
取得国家資格/鍼灸師、柔道整復師(接骨)、あん摩マッサージ指圧師
慶応大学卒業後、人体や自然界への探求心によりカイロプラクティックの道へ進む。ユニバーサル・カイロプラクティック・カレッジ、 中央医療学園鍼灸学科を首席として卒業後、JSK鍼灸カイロプラクティックを運営。音楽家の腱鞘炎等の演奏障害を得意分野とし、多くの著名ピアニストの治療を担当。






